Saarijärven kanteleen soitto-opas / サーリヤルヴィ・カンテレ演奏ガイド
著:センニ・ヘイスカネン, カティ・ランタラ, ハンナ・リューナネン, パウリーナ・スルヤラ, イェンニ・ヴェナライネン
出版社:Kansanmusiikki-instituutti
出版年:2024年
対象:サーリヤルヴィ・カンテレ(、10~15弦カンテレ)
ここ数年、パウリーナ・スルヤラ、マイヤ・カウハネン、ハンナ・リューナネンといった、実力派カンテレ・アーティストたちの演奏によって注目度があがっているサーリヤルヴィ・カンテレに関する初めての教本&楽譜集が発売されました。まさに待望!の1冊です。
1980年頃にはその伝統が途絶えかけたスティックを用いた演奏が特徴のサーリヤルヴィ・カンテレは、研究分野からはカリ・ダールブロム(Kari Dahlblom)が、演奏研究でパウリーナ・スルヤラ(Pauliina Syryjälä)が復興の土台を固め、昨今ではもっとも勢いのある奏法であるとも言えます。スティックと指が交差するように高速で動き即興的に音を紡ぐ様子は、目で見ても楽しめる要素の一つです。
著作者の一人センニ・ヘイスカネンがセントリア応用科学大学の卒業論文で著した「SAARIJÄRVEN KANTELEEN SOITTO-OPAS(サーリヤルヴィ・カンテレ演奏ガイド)」(2019)のアイデアを軸に、サーリヤルヴィ・カンテレで音楽表現活動を行う奏者たちが集まり完成した本ガイドでは、前半にサーリヤルヴィ・カンテレの歴史や名奏者の紹介、基本的な弾き方や楽譜上の表記を説明した後、基本的な練習曲集、演奏曲集と続きます。
練習曲や演奏曲の楽譜のほとんどにはコード表が添えられ、その曲がテーマとしている奏法や気をつける点の解説が書かれているというなんとも親切な構成。解説はフィンランド語ですが、楽譜上の表記さえ理解すれば、このガイドを基に独学で練習していくことも可能です。
収録されている約60曲もの作品は、伝統曲や名奏者のレパートリー、近隣諸国の音楽やサーリヤルヴィ・カンテレ奏者によるオリジナル曲など。どれも弾いてみたい!と思わせてくれる魅力的な選曲です。
最後に収められているのは、パウリーナ・スルヤラによるサーリヤルヴィ・カンテレ4台のための楽曲。
日本でも、4人の挑戦者が集い響かせてくれる機会があるでしょうか。
我こそは!という方はぜひトライしてみて下さいね。
ご購入は販売元である フィンランド民俗音楽研究所 からどうぞ。
※楽譜集のタイトル和訳は、日本カンテレ友の会による仮訳