Kanteleen pyörtehissä – 10- ja 15-kielisten kanteleiden soitto-opas
(カンテレ・ボルテックス – 10~15弦カンテレ演奏ガイド)
著:アヌ・アルヴィオラ, アウロラ・ヴィサ
出版社:Kansanmusiikki-instituutti
出版年:2024年
対象:10~15弦カンテレ(、5弦カンテレ)
10~15弦カンテレの受容は、ここ十数年で飛躍的に増えています。
コイスティネン・カンテレ社の”ウイング・カンテレ”を筆頭に、ショルダーストラップで固定したモダン型のカンテレは、自身の身体を反響板代わりに音を前へと飛ばすことで聴衆に音を届けやすい構造となっています。
5弦よりも音域は広く、大型カンテレほど持ち運びに苦労せず、メロディを弾いても良し、コードをかき鳴らしても良し。ギターのような気安い存在として愛好者の心をつかんでいます。
そんな10~15弦カンテレ向けのカンテレ教本&楽譜集が、今年新たに出版されました。
基本的な音楽・カンテレの知識、楽器を構える姿勢からはじまり、教本内に使われる用語集、奏法やテクニックの紹介につづく楽譜集には、奏法(コード奏法、メロディをはじき弾く奏法、ミックス奏法、ピックを用いたコンッピ奏法)ごとにカテゴリー分けされた100曲以上もの楽曲がズラリ!
手がけたのはカンテレオーケストラFinn-Kanteleet出身で、後に小型(特に10~15弦)カンテレに専門を見出し数々の名曲・名編曲譜を発表してきたアヌ・アウヴィオラ(Anu Alviola)と、その教え子でピックを使ったコンッピ奏法で活躍するアウロラ・ヴィサ(Aurora Visa)。コンッピ奏法とは、リズムギターの演奏技術を応用した奏法です。
教本は10~15弦向けに書かれていますが、5弦カンテレでメロディを弾くことができる曲も多く掲載されています。
楽譜の右上には、その曲のメロディを弾くことができる弦数が示されています。
↓例えばコチラの曲は、5、10、11、15弦で弾くことが可能。
ミックス奏法、コンッピ奏法の楽曲には更に、曲の難易度が★印で示されています。
↓こちらの曲は星が3つ…難易度が高いようです。
巻末には、編曲のためのヒント集、コード表、各弦数での各調の音階表、装飾例、10~15弦カンテレの運指表、コンッピ奏法の基本リズムなど、かゆいところに手が届くような補助教材もてんこ盛り。
序文に書かれているとおり、この教本は独学でカンテレを学ぶ愛好家も想定しているため、非常に丁寧に説明されています。解説はすべてフィンランド語ですが、楽譜や図説も参考に理解できることも多くあります。
10~15弦カンテレを愛好する方にはぜひともおススメ!したい1冊です。本当に!
ご購入は販売元である フィンランド民俗音楽研究所 からどうぞ。
※楽譜集のタイトル和訳は、日本カンテレ友の会による仮訳