Seitakivi: Lapinaiheisia sävellyksiä ja sovituksia koneistokanteleelle
セイタ・ストーン:ラップランドをテーマとした作曲・編曲集
作曲・監修:マルッティ・ポケラ
記譜:ハンヌ・スルヤラハティ
印刷地:Helsinki
出版社:Fazer
出版年:1986年
対象:コンサートカンテレ
『Hiidenkirnu: Sävellyksiä ja sovituksia koneistokanteleelle(ポットホール:メカニックカンテレのための作曲・編曲集)』に続き、同年出版された『Seitakivi: Lapinaiheisia sävellyksiä ja sovituksia koneistokanteleelle(セイタ・ストーン:ラップランドをテーマとした作曲・編曲集)』には、その副題のとおりマルッティ・ポケラ(Martti Pokela:1924-2007)によるラップランドをイメージして創作された11曲が収められています。
- Seitakivi / セイタ・ストーン
- Riekko hangella / 深雪のライチョウ
- *Inkuna-poika / 少年インクナ
- Pollati poro lullati / ポッラティ・ポロ・ルッラティ
- Unna Ulla nunnu / ウンナ・ウッラ・ヌンヌ
- Miessi maanon / 5月
- Mun rähkistam / 愛しい人
- Peijaiset / 謝肉祭
- Ellun Inga / エッルのインガ
- Golggo maanon / 11月
- Hansin koira / ハンスの犬
本作でも記譜したのは、カンテレ奏者ハンヌ・スルヤラハティ(Hannu Syrjälahti)です。
マルッティ・ポケラは、自身でラップランドを旅したわけではなく、民俗伝承の収集家サムリ・パウラハルユ(Samuli Paulaharju:1875-1944)による著作群からインスピレーションを得たと語っています。
…楽曲創作のスタートはラップランドがテーマで、レコードにも収められたね。これらはサムリ・パウラハルユの本から着想を得たんだ。僕は彼の熱烈なファンなんだよ。僕自身がラップランドのどこに行く必要なんてない、本を読めば、そこから雰囲気をすべて感じるんだ。もちろんラップランドに行ったこともあるけれど…(中略)…間違いなく楽曲は、パウラハルユの、特に本に載っている写真や絵の雰囲気から生まれたんだ。
そこからたくさん(テーマ旋律を)作ったし、たくさんボツにもしたね。ああ、それらのテーマはあそこのカセットテープにあるよ、未使用のまま時が来るのを待っているんだ。
(Martti Pokela 1982, インタビュアー:Hannu Saha)
SAHA, Hannu: Luovuutta mukaan eli Martti Pokela ja kansanmusiikki, Kansanmusiikki 1/1982
ポケラが”ボツにした”メロディの欠片たちが、どのようなものだったのか、気になりますね。
”ラップランドをテーマとした”曲ということで、サーミ語がタイトルに起用されているものもあります。
表題作「Seitakivi(セイタ・ストーン)」とは、古代サーミ信仰における神聖な祈りの場である”Seita(セイタ)”のうち、石や岩がベースとなっているものを指します。自然発生した珍しい形の石や岩石、巨大な石や複数の石を積み重ねたものなど、形状はさまざま。現在もフィンランドには数十のセイタ・ストーンが遺っていると言われています。
セイタに関して初めて記録に残る形で言及したのもやはり、サムリ・パウラハルユです。
フィンランドの文化伝統に関する資料を提供するFinna.fi では、パウラハルユが撮影したセイタ・ストーンの写真がいくつか公開されています。著作権フリーで使用可能な写真をいくつか紹介します。
seitakivi
Samuli Paulaharju, 1921, Museovirasto
Pakajärven seitapahka Muoniossa
Samuli Paulaharju, 1920,
Museovirasto
Taatsin jumala
Samuli Paulaharju, 1920,
Museovirasto
ポケラが感じたイメージを想像し、演奏にも取り込みたいですね。
楽譜集は絶版のため、指導を受ける先生から受け取る他ありません。
楽譜では表すことのできないポケラ独特のリズムや奏法など、適宜レッスンを通して学びながら励んで下さい。
※楽曲・楽譜集のタイトル和訳は、日本カンテレ友の会による仮訳