Tuulikumpu – Martti Pokelan Historiallisia Äänityksiä I
風の丘 – Martti Pokela’s historical recordings vol. 1
レーベル:フィンランド民俗音楽研究所(Kansanmusiikki-instituutti)
リリース年:2001
演奏:マルッティ・ポケラ(カンテレ, 他)
収録曲:
[Suomen Kansallismuseon Vanhat Kanteleet/ 国立博物館所蔵の古いカンテレ]
1. Ketun Valitus (14弦カンテレ)
2. Eliaan Virsi (20弦カンテレ)
3. Mä Silmät Luon Ylös Taivaaseen (20弦カンテレ)
4. Karhunpeijaispolska (5弦カンテレ)
5. Lampaan Ravia (12弦カンテレ)
6. Masurkka (12弦カンテレ)
7. Eliaan Virsi (12弦カンテレ)
8. Kalevalainen Sävelmä (7弦カンテレ)
9. Kehtolaulu (7弦カンテレ)
[Pelimannimusiikkia Isolla Kanteleella/大型カンテレ向けペリマンニ音楽]
10. Joutsenen Tanssi (36弦カンテレ)
11. Syrjälän Heikin Maitopolkka (28弦カンテレ)
12. Purppurimarssi (32弦カンテレ)
13. Hatukankaan Valssi (36弦カンテレ)
14. Mettisen Polkka (32弦カンテレ)
[Sauna-baletti, Otteita/バレエ組曲「サウナ」より抜粋]
15. Maahinen Eli Sauna-Jaako (コンサートカンテレ, ボーカル, カリンバ)
16. Saunottaja Ja Tyttö (5弦カンテレ, ボーカル)
17. Pojat Marssivat (パンパイプ, ボイス)
18. Pylylypyppy (5弦カンテレ, コンサートカンテレ, ボーカル)
19. Liian Kuumaa (5弦カンテレ, パンパイプ)
20. Lauteilta (バケットドラム, マラカス)
21. Hilipatipippan (5弦カンテレ, コンサートカンテレ, マラカス, ボーカル)
22. Maahisen Tanssi (カンテレ, カウベル)
23. Saunottaja (ハンドクラップ, マラカス)
24. Pojat Marssivat (パンパイプ)
25. Maahinen Istuu (コンサートカンテレ, ボーカル, ボイス)
[Tuulikumpu – Kuvia Kalevalasta, Otteita/バレエ組曲「風の丘 – カレワラの肖像」より抜粋]
26. Prologi
└ Velikulta Veikkoseni (コンサートカンテレ)
27. Väinämöinen Ja Joukahainen & Aino
└ Hiivatin Polkka (コンサートカンテレ)
└ Satavuotinen Sakka (5弦カンテレ)
└ Itkevä Tyttö (5弦カンテレ)
28. Lemminkäinen Ja Äiti
└ Unna Ulla Nunnu (コンサートカンテレ)
└ Helmi-Valssi (5弦カンテレ)
29. Pohjolan Neito
└ Märkähattu, Improvisaatio (リード・パイプ)
└ Huilun Huhuilu (フルート)
└ Lemminkäisen Kuolema (5弦カンテレ, リード・パイプ)
└ Musta Lintu Eli Kummituslinnun Tanssi (5弦カンテレ, コンサートカンテレ)
└ Hansin Koira (コンサートカンテレ)
30. Lemminkäisen Ja Pohjolan Isännän Taistelu
└ Improvisaatio (5弦カンテレ, コンサートカンテレ, リード・パイプ, エフェクト)
31. Epilogi
└ Kalevalasävelmä (5弦カンテレ)
「近代カンテレの父」と呼ばれるカンテレ功労者、マルッティ・ポケラ(Martti Pokela;1924-2007)の1950~1960年代の功績をまとめた作品集です。
最初のカテゴリー「国立博物館所蔵の古いカンテレ(Suomen Kansallismuseon Vanhat Kanteleet)」では、フィンランド国立博物館に所蔵されているカンテレを実際に用いた演奏を聴くことができ、何とも味わい深い響きが耳を優しく通っていきます。奏でているのは主に伝承曲をポケラ自身が即興的にアレンジしたものです。
「大型カンテレ向けペリマンニ音楽(Pelimannimusiikkia Isolla Kanteleella)」では、ペリマンニ音楽のレパートリーやポケラ自身による新しいペリマンニ音楽を大型カンテレで陽気に楽しく響かせます。
バレエ組曲「サウナ」(Sauna-baletti)は、1968年に舞台用作品として作曲家レイヨ・ユルキアイネン(Reijo Jyrkiäinen)とともに作り上げました。CDに収録されているのはその抜粋版として再録したものです。多彩な民俗楽器を駆使し、サウナ空間を表現しています。カンテレは5弦かコンサートカンテレが使われています。
それにしても、どのような舞台だったのか気になりますね。
CDのタイトルにもなっているバレエ組曲「風の丘 – カレワラの肖像(Tuulikumpu – Kuvia Kalevalasta)は、民族叙事詩『カレワラ(Kalevala)』を基にしたやはり1968年に作られた舞台用の音楽です。ポケラは当時よく弾いていた自身のレパートリー曲をメドレーのように繋ぎ合わせ、即興や効果音を加えながら舞台用作品としてまとめ上げました。
例えば、27曲目に含まれる『Itkevä tyttö(嘆きの少女)』は、5弦カンテレのソロ/アンサンブル曲として知られており、『VIISIKIELISEN KANTELEEN OHJELMISTOA 3; Martti Pokelan sävellyksiä(5弦カンテレ曲集3-マルッティ・ポケラの楽曲)』や『GOLDEN KANTELE 5弦カンテレのための伝承・作曲作品集&教本』に収められています。日本でも演奏したことがある方が多いと思いますが、この舞台のイメージを踏襲し、”嘆きの少女”=『カレワラ』に出てくる悲劇の乙女アイノであると意識して弾くと、また表現が変わりそうです。
なお、ポケラの晩年の演奏風景はドキュメンタリー番組「Hoppu Martti-MARTTI POKELA, professori. Suomalaisen kanteleen GRAND OLD MAN」で見ることができます。
カンテレを愛し、カンテレのために生涯を捧げた、私たち皆の”お父さん”であるポケラの音楽、ぜひとも耳を澄ませて学びにつなげて下さい。
※CD・各曲タイトル訳は、日本カンテレ友の会による仮訳